Mさんの心
内科医として研修した糖尿病センター。医師人生で初めて主治医として受け持たせて頂いた、糖尿病合併症が進んでいた70代男性のMさん。
-- お前なんかに俺の気持ちが分かってたまるか、バカヤロウ‼︎ --
壊疽した足の処置をしている時、大部屋に響き渡る大声で怒鳴るように言い放ちました。
腎臓の機能が落ちてきて、透析導入のため入院していたMさんは、足切断の可能性を指摘されていました。
今でこそ、Mさんの思いに寄り添うということのイメージが持てますが、当時25歳の私には、70代男性の心に寄り添うことは難しかった。
当時の私は、自分の考えや感情が作られる仕組みを知らなかったので、看護師さんからMさんの心についての有効な情報を聞き取れませんでした。
Mさんの心に寄り添えなかったこと、今でも申し訳なく思っています。